私が勤めていた会社は典型的なブラック企業でした。

サービス残業は当たり前で、一定の時間を過ぎるとタイムカードだけ押して退勤したことにして、その後も残って仕事をしていましたし、業務が多すぎて早朝出勤(定時前の勤務時間はもちろんカウントされない)もしょっちゅうでした。

休日出社もしょっちゅうで、上司に「出ろ」と言われたらこちらの都合など関係なく出社しなければなりませんでした。しかも、おかしいのは休日出社を拒否する(行かない)場合にも有給申請が必要だったということです。

 

ある時、私の姉が結婚することになったのですが、その日(土曜日で会社はもともと休日)に出社命令が出ました。当然出社できませんので、私は上司に「姉の結婚式があるので有給を取得します」と伝えました。(有給って時点でおかしいのですが……)

しかし、上司から返ってきたのは驚きの言葉でした。

 

「その結婚式が本当に執り行われるのか証明できるものを出せ」

と言われたのです。

 

家族なので、結婚式の招待状はもらっていませんでした。

そういうものだと姉からは聞かされていたので、まぁそうだよな、と思っていたのですが、私は腸が煮えくり返るような気持ちで姉に連絡し「申し訳ないんだけど招待状って余ってたりしない?」と聞きました。

 

幸い予備の招待状があるということで、姉からその招待状を受け取り、私はそれを持って上司に改めて有給申請をしました。姉に事情を話した時には「そんな会社あり得ない。辞めた方がいいよ」と本気で心配してくれました。

 

姉と姉の旦那さんの反応、実家の両親の反応を見て、私もようやく目が覚めました。

こんなのは異常極まりないとハッキリと自覚したのです。

 

第三者の反応を見るまでは、会社にムカつきはしてもそれが異常という感覚がマヒしていて、これはすぐにでも退職しないと、洗脳されておかしくなってしまう……と危機感を覚えました。

 

しかし、とんでもないことを言ってのける上司です。

辞めたいなんて言っても聞き入れてくれないか、脅されるか、何をされるか分かりません。

実際、退職予定の同僚が、退職したいと伝えた後にうつ病になるまで上司に追い詰められたという話も聞いていたので、私は恐怖でなかなか行動できませんでした。

 

どうにかして誰か代わりに仕事を辞めさせてくれないかな、と思って調べてみて、退職代行について知り、すぐに依頼しました。

訴えられたらどうしよう、とか、上司が突撃してきたらどうしよう、とか、不安は色々ありましたが、その不安や心配にも「大丈夫ですよ!」と返してくれたのはとても心強かったです。

 

そしてその言葉通り、本当にすんなり退職できました。

ウソみたいに上司からも会社からも何の連絡も無く、こんなに簡単に辞められるもんなんだ、と驚きました。

 

今はブラックではないいたって普通の会社に勤務し、幸せな平凡を噛みしめています。